猫、あるいはネズミから人を救う1つの物語。

猫、人、そしてネズミ。1942年は、レニングラードにとって二重の悲劇となった。毎日何百人もの命を奪う飢餓に加え、ネズミの蔓延というもう一つの疫病があったのだ。目撃者の証言によると、ネズミは巨大なコロニーを形成して街中を動き回っていた。ネズミが道路を横切ると、路面電車でさえも停車せざるを得なかった。

レニングラード在住のキラ・ロギノワは、次のように回想している-

"ネズミ "たちは、リーダーを先頭に長い列を作り、シュリセルブルク・トラクト（現在のオブホフスコイ・オボロニー通り）をまっすぐ、町中の小麦粉を製粉する工場まで移動しました。ネズミは銃撃され、戦車で潰そうとしたが、何も効果がなかった。ネズミは戦車に乗り込み、安全に先へと進んでいった。これは組織化された、巧妙で残酷な敵だった...」。

あらゆる兵器、都市への爆撃、火災が何千もの命を奪ったが、「ネズミ軍団」はこれらすべての災害を気にも留めなかった。彼らは飢えた包囲網の生存者たちを素早く食い尽くした。灰色の生物は、街に残されたわずかな食料を食べ尽くした。ネズミはまた、疫病で街を脅かしていた。しかし、ネズミを駆除する「人間的」な方法は一切通用しなかった。そして、ネズミの大敵であるネコは、長い間姿を消していた。人間に食べられてしまっていたのだ。

猫と人とネズミ。ネズミが発生する原因

最初、周囲の人々は猫を食べる人を裁いた。しかし、包囲網が長引けば長引くほど、判断材料が少なくなっていった。猫の夕食が、生きていくための唯一の手段であることも多かった。

"1941年12月3日。今日は猫のフライを食べました。とてもおいしい」と10歳の男の子が日記に書いていた。

ゾヤ・コルニリエワは、「封鎖が始まったとき、共同アパートとして隣の家の猫を食べました」と振り返る。

"我が家では、叔父が猫のマクシムを食べるように要求し、ほとんど毎日、動物を屠殺すると脅すまでになったのです。だから、母と私は、家を出るときはマクシムを小さな部屋に閉じ込めていました。また、オウムのジャックも飼っていました。オウムのジャックもいた。良い時には、ジャックは歌ったり話したりしていた。でも、飢餓状態のここでは、すっかり萎縮して静かになってしまった。 猫のマキシムもほとんど歩けなくなり、毛はうっすらと抜け、爪の手入れもままならず、餌をねだる鳴き声すら聞こえなくなった。ある日、マキシムはジャックのケージに入り込むことに成功した。他の時なら、ドラマがあったかもしれない。しかし、家に帰った私たちが見たものは、どうだったでしょう！鳥と猫が寒い部屋の中で、身を寄せ合って眠っていたのです。おじさんはそれに影響されて、猫を殺そうとするのをやめたんだ...」。

"ワスカ "という猫を飼っていました。家族の人気者だった。1941年の冬、母は彼をどこかに連れて行きました。孤児院に連れて行くと、魚を食べさせてくれるというので、私たちは食べられませんでした...夜になると、母はミートボールのようなものを作りました。その時、「どこから肉を仕入れたんだろう？何もわからなかった......後になってわかったんだ......ヴァスカのおかげであの冬を乗り切れたんだ......」。

"家の中では、爆撃の時、窓ガラスが飛び出し、家具はとっくにストーブの中で焼けていた。そしてママは窓辺で寝た--幸いにもそれはベンチのように広かった--雨や風を防ぐために傘で体を覆ったのだ。ある日、ママが私を妊娠していることを知った誰かが、ニシンをプレゼントした。しかし、夕方帰ってみると、床には尻尾と脂肪のシミがあるだけで、ネズミに食べられていた。サロフ・セラフィム教会の職員、ヴァレンティーナ・オシポヴァさんは「包囲網を生き延びた人しかわからない悲劇でした」と語る。

友情への忠誠と空腹は妨げにならない。

それでも、残酷な飢饉の中でもペットを助けた町民がいた。1942年の春、飢えで半死半生になった老婆が、飼い猫を散歩に連れ出した。人々は彼女に近づいてきて、「助けてくれてありがとう」と感謝した。

1942年3月、ある包囲網の生き残りは、街の通りで痩せた猫を見たことを思い出す。何人かの老婦人がその周りに立ち、体を交差させながら、やせ細った骸骨のような警察官が、誰もその動物を捕らえないように注意していた。

1942年4月、12歳の少女が映画館「バーリカーダ」の前を歩いていると、ある家の窓辺に人だかりができているのが見えた。彼らは珍しい「絵」を見ていた。明るい日差しが差し込む窓辺に、3匹の子猫を連れたシマシマ猫が横たわっていたのだ。「この猫を見たとき、私たちは生き残ったのだと思いました」と、彼女は何年も後に振り返った。

猫と人間。ネズミから人を救う1つの物語

1943年に封鎖が解かれると、レンソベト議長が「ヤロスラブリ州からスモーキーキーキャットを取り寄せてレニングラードに届けよ」という命令を出した。ヤロスラブリの住民たちは、この戦略的命令を実行せずにはいられず、当時最高のネズミ捕りとされていたスモーキーキーキャットを必要な数だけ捕獲した。

荒廃した町に到着したのは、ワゴン車4台の猫たち。ある猫は駅ですぐに解放され、ある猫は住民に配られた。配布は瞬時に行われ、多くの人が足りなくなった。

Л. パンテレエフは1944年1月の日記に「レニングラードでは子猫が500ルーブルもする。その時、1キログラムのパンは50ルーブルで手売りされていた。番頭の賃金は120ルーブルだった。

- 私たちは、持っている中で一番高価なもの、つまりパンを猫のために与えたのです。私自身は、自分の配給の一部を残して、この子猫用のパンを、子牛を産んだ猫を飼っている女性にあげました」とゾヤ・コルニリエヴァは振り返る。

猫軍団

老朽化した町にやってきた猫たちは、身の危険を感じながらも、食料品店からネズミを追い払うことに成功した。

猫はネズミを捕まえるだけでなく、戦うこともしてきた。レニングラード近郊の高射砲台に住み着いたジンジャーキャットの伝説がある。敵機の接近をニャーと鳴きながら正確に予測することから、兵士たちはこの猫を「リスナー」と名付けた。その猫は手当てもされ、兵士が世話をすることになった。

エルミタージュ美術館をはじめ、レニングラードの宮殿や美術館の地下にいるネズミと戦うために、シベリアから別の「バッチ」猫が連れてこられた。オムスク、イルクーツク、チュメンの住民は、レニングラードの人々を助けるために、自分のペットを収集場所に連れてきたのである。レニングラードに送られた5千匹の猫は、ネズミを駆除し、食糧を救い、疫病から人々を救ったのである。

そのシベリア猫の子孫たちが、今もエルミタージュに住んでいます。世話や食事、待遇はもちろんのこと、何よりもその勤勉な働きと手助けが尊敬されているのです。そして数年前、美術館は「エルミタージュの猫の友人たち」のための特別な財団を設立したほどです。

現在、エルミタージュには50匹以上の猫が勤務しています。それぞれ写真入りの特別なパスポートを持っています。そのすべてが、博物館の展示物をネズミから守ることに成功しています。猫たちは、背中から、そして尻尾から、目で見てわかるようになっています スタッフ ミュージアムになります.